

伊藤典男 著
- 2012.05
- KEY WORD
- 触媒
私達の身の回りには、性格や生き方が大きく異なった人たちがいます。私が所属しているサ-クルにも、職場にも、習い事の場にも。上下関係が少ないサ-クルでは、議題が提示され、議論が尽くされて一定の方向性が決まりかけ、採決の段階で、必ずと言っていいほど「でも」「だけど」「それは」「やっぱり」と一言を投げかけ、振り出しに戻そうとする人がいます。私はこの人を非難するつもりはありませんが、「何故もっと早い時点で発言しないのだ」とか「もう少し場を読め」と思う気持ちはあります。その様に思うのは私だけではないでしょう。また職場なら、上司と部下の意見が大きく違うことが多々あります。しかしこの場合は、両者とも会社を思う気持ちに変わりはなく、会社の為に良かれと思い発言しています。我々の仕事の場面では、何度も何度も同じ質問をする生徒がいます。私が参加している習い事教室でも、シニア世代(65歳以上)が中心ですから、先生が数分前に教えた事を聞く生徒がいて、また数分後に同じ質問をする生徒がいます。同じ質問は二人だけで終わらない時もあります。教える先生も大変だと思います。
しかし、これらの場面で、必ず事態をまとめる人が出てきます。先生の手を煩わす事無く、質問者の所に行き、授業が停滞するのを阻止してくれる人が出てきます。サ-クルなら大勢の意見をまとめあげ、費やした時間を無駄にしないようにする人が出てきます。会社なら両者が納得できる案を提示する人物が出てきます。私はこの人たちを「触媒人間」と呼んでいます。「触媒人間」とは聴き慣れない言葉かも知れませんが、真に頭の良い、場を読める、隠れたリ-ダ-だと思います。人々を引っ張って行くだけがリ-ダ-ではありません。経営者なら、上に立つ人なら「触媒人間」を作る事も大切な仕事です。
触媒は化学用語で、皆さんには馴染みの無いものなので、インタ-ネットから引用させていただきます。水素と酸素をフラスコの中に入れておいても反応する事はありませんが、触媒を微量入れると反応が始まります。水素と酸素のように非常に反応しやすい分子でも触媒がないと反応しません。多くの化学反応は触媒が無いと殆ど起こりません。私達の身の回りにある、プラスチック、化学繊維、医薬品などは、ほとんど触媒を使って作られています。そして私たちの身体の中でも生体触媒反応が起こっています。それほど触媒に世話になっていても、触媒について知っている人は少ないのが現状です。
触媒とは「自らは変化せずに化学反応を促進する」ものです。自分自身は確固たる主張はしないが対抗する二つのものを前向きに一つのものに結び付けていくものが触媒です。
化学反応は一方向に進み、ある割合まで進むと止まるように見える時があります(化学平衡という)が、じつは化学反応はなお起こっているのです。正方向の反応と逆反応が同じ速度で起こっているために、見かけ上、起こっていないように見えるだけなのです。進化していないように見えても触媒は活躍しています。
酸素人間:酸素の性質を持っています。火のついた線香を酸素に近づけると、炎を出して、激しく燃えます。酸素は、物が燃えるのを助けるものです。少しのアイデアを提示してやれば次から次と難題を乗り切る。しかし、種火が無いと燃えさからない欠点があります。上手くいかないと自分を責める(酸化)のが酸素人間です。空気より重いので、仲間とは馴染めないタイプです。
水素人間:水素の性質を持っています。水素は良く燃える性質があります。私はこの人を瞬間湯沸かし器と呼んでいます。考えるより先に行動して、燃え尽きてしまう。しかし立ち直るのが早く、空気より軽いので仲間とも交わり、友達も多く人気者です。
触媒人間:酸素人間・水素人間の相反する所を細い線と考え、似通っている点を太い線にしてまとめ上げ、今本当に必要なものを作り上げる力を持っています。
表舞台には立たないけれど、自分自身は反応しないけれど、無くてはならない触媒人間。あなたの周りにもいます。あなたかも知れません。なってみませんか「触媒人間」に。企業の発展、サ-クルの維持に必要な触媒人間に!
