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■ 2016年09月:KEY WORD 居るだけで

 8月2日午前5時に我が家のチンチラ(カルビ)が娘に抱かれて息を引き取りました。16年2ヶ月の命で、人間の寿命に換算すると80歳だそうです。カルビは娘家族の猫で、我が家に来た時は2歳でした。眉間の2本の濃い毛が耳の脇まで通り、男前、凛々しいと言っても言い過ぎではありませんでした。我が家に来た日、納戸から縁の下に入り、ネコ科の特性なのか、縁の下、1階から3階の隅々まで、家のあらゆる所をくまなく探検しました。我が家の庭は畑になっています。畑には私の趣味の野菜、イチジクの木があります。カルビは外に出せと私の足を突きます。畑には美味しい野菜と熟したイチジクを食べに鳥達がやってきます。ある日カルビとカラスのバトルがありました。カラスはトウモロコシに体当たりして倒し、地面でゆっくりトウモロコシをつつきます。カルビは背を低くして物陰に隠れていて、一気にカラスに飛び掛りました。数羽いたカラスの1羽の羽がカルビの爪に引っかかり、カラスの羽は抜け、飛び去りました。以後我が家の畑にはカラスが来なくなりました。効果絶大で他の鳥害から野菜を守る事が出来ました。カルビが庭に居るだけで抜群の効果です。また低空で飛んできたセミを見事キャッチしたこともあり、動物特有の目、感、俊敏さは癒しの一つでもありました。我が家には猫の他にコーギー(ローズ)がいます。コ-ギ-は足が短いので早く走る事が出来ません。時々カルビにチョッカイを出しますが、カルビはネコパンチで応戦。ロ-ズは逃げ遅れて、額と目に引っかき傷を作ったことがありました。近所には1匹の飼い猫と1匹の野良猫がいて、2匹は我が家の敷地で粗相をします。ある日ノラが敷地に入った時、カルビは庭の反対側の玄関から猛スピ-ドで庭に来て、ノラとにらみ合い、互いに大きな声をあげて威嚇していました。カルビは背中を高くして相手に襲い掛かりました。相手は一目散に庭の塀を超えて逃げて行きました。私は近くに行き頭を撫でてやろうとしましたが、興奮は収まらず、牙と爪を剥いて動物の本能丸出しでした。しかし、人間も動物も老いは来ます。近年は、庭に出ていても鳥達はカルビを気にせず、野菜やイチジクを摘まんで行きます。セミの声にカルビの耳はピクッとしますが、追いかける元気は今年の夏にはありませんでした。昨年の暮れから耳も遠くなり寝ている時間が多くなりました。カルビは朝と夕方に「耳をかいてくれ」と寄ってきます。約5~6分の事ですが、気持ち良いのか目がトロ-ンとして、カラスを狙った目とは全然違います。亡くなる1週間前からは耳かきの欲求もありませんでした。ペットはそこに居るだけで多くの癒しを貰えるものです。カルビの老いに自分を重ねて見ていました。

 以前セミナ-で、週刊文春には何故、スキャンダルも含め、トップ記事が掲載されるのか?を話しました。編集長の人格であると結論付けました。編集長配下記者全員が、記者の不始末で左遷されましたが、編集長が再度戻って来た時のために、記者達は特ダネの裏を取り、暖め、編集長が戻り次第、次々と特ダネを世間に披露しました。文春は完売です。文春の記事は舛添知事を辞任に追い込みました。カルビは元気な時、庭に居るだけで鳥害から野菜を守り、ノラ猫から我が家を守ってくれました。年をとっても家の中では可愛い寝顔を見せて「そこに居るだけで良い」存在でした。文春の記者達は編集長を「そこに居るだけで良い。編集長だから」と信頼し、足でネタを嗅ぎ付け、裏を取り、記事が生まれます。責任は記者憧れの編集長にあります。

 大会社は組織が人間をつくります。小さな会社は自然に組織が出来上がって行きます。「そこに居るだけで安心できる」人の周りに組織が出来ます。無理やり組織を作ると、肩書だけが1人歩きしてしまいます。ペットの猫も、そこに居るだけで人が寄り、優秀な編集長も、そこに居るだけで特ダネの組織ができます。先月亡くなった昭和の大横綱千代の富士の言葉に「横綱の名が、私を横綱にしてくれた」というものがあります。含蓄のある言葉です。(典)

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あきらめたらあかん/伊藤典男 著

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