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■ 2017年09月:KEY WORD 嫌われもの

 ここ2~3ヶ月、TVをつけると、強い毒性を持つ外来種、ヒアリが日本各地で見つかっていると報道されています。国際自然保護連合が選んだ世界の侵略的外来種ワ-スト100種に、勿論ヒアリもリストアップされています。他にも、アライグマやカミツキガメ、ウシガエルも入っています。

 アライグマは1970年代のペットブ-ム以降遺棄され、繁殖率が高い為に全国に広がりました。今や全国で農産物に大きな被害を与えています。カミツキガメは、全長50cmを超えるものもあり、これも1960年以降投棄され、雑食種で、日本の在来種を食べて被害は計り知れないようです。ウシガエルは1918年食用としてアメリカから輸入されましたが、日本では食材として定着せず投棄されました。

 以前、草加市に住んでいた頃、近くの田んぼから、夜中聞こえる大きな牛声で睡眠不足になった事を思い出します。日本では外来種に神経を使っていますが、逆に日本から外国に渡りワ-スト100種に入っているものもあります。秋の七草の1つで、根がクズ粉や漢方薬になっているクズ。米国に19世紀、土壌の流失防止などのために植えられ、当時「奇跡のツル植物」としてもてはやされましたが、繁殖力が強く米国の在来種の植物を脅かす侵略者として苦情の対象になっています。

 繁殖力が強くてヨ-ロッパで猛威をふるっているのが、イタドリ(スカンポ)です。獨協大学の教授に聞いた話ですが、イタドリは漢方薬で痛さを取るからイタドリと名が付き、ヨ-ロッパに渡ったのは、江戸時代の後期です。シ-ボルトがイタドリの薬用としての効果に目を付け、ヨ-ロッパに持ち帰り、漢方薬として使用している間に広がり、イギリスにも観賞用として輸出されました。イタドリは旺盛な繁殖で、コンクリートやアスファルトを突き破る被害も出ています。今は痛みを取る薬品もでき、駆除に頭を抱えています。

 我々に馴染みのコイもワ-スト100種の中に入っています。コイは低温に対する耐性があり、雑食種で何でも口にする貪欲な魚です。体長が60cmを超えると天敵が殆どいなくなり、淡水に住む生物を手当たり次第に食しています。我々の生活に深く溶け込んで、時には癒しを与えてくれ、食用にもなっていますが、世界では生態系や経済に重大な影響を与えているのに驚かされます。

 驚きの生物はまだあります。ワカメです。日本の食卓に欠かせないワカメですが、何故と思うでしょう。ワカメの遊走子が、日本の商船の重さを調節する際のタンク(バランスタンク)内に混入し、ニュージーランドやオーストラリア、ヨ-ロッパ諸国をはじめ世界中の沿岸に増殖しており、生態系にも人間にも悪影響を与えています。ワカメは味噌汁やサラダで消費すれば良いと思うのは我々だけで、実はワカメを食べるのは、日本人と朝鮮半島だけなのです。欧米人は食べたとしても、ワカメを消化する酵素を持っていないのです。食べる事の出来ない邪魔な海藻に過ぎないのです。今、駆除を諦めて、日本に輸出しようという話もあるようです。日本では身近な生物が海外では嫌われ者となっているのはどうしてなのでしょうか?

 原産地の生態系では、様々な生物が一緒に進化してきました。スズメは稲作の伝来と共に大陸から日本列島に渡ってきました。モンシロチョウは奈良時代にアブラナ科の作物が大陸から導入された際に、一緒にやって来ました。しかし、年月が経てば、スズメやモンシロチョウは我々に溶け込んでいます。天敵も競争相手もいて、どれも独り勝ちできません。ところがある生物が別の生態系に侵入すると、競争相手もなく、独り勝ちになってしまいます。日本では存在自体が当たり前でも、他国では邪魔者扱い。逆に外国では有用であっても、日本では受け入れられないものがワ-スト100種に多数入っています。

 ビジネスに置き換えても同じで、その地域に受け入れられるか、邪魔者にされるか、我々の仕事に最適なマニュアルはありません。新しい地域に行けば外来種です。だったら受け入れられる工夫をする、溶け込むことです。できますよ。我々は人間ですから。(典)

 ※鴨志田公男氏「生き物たちのシグナル」参照

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あきらめたらあかん/伊藤典男 著

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