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■ 2015年12月:KEY WORD 気配り

 11月の中旬、学生時代の友人四人と旅行に出かけました。四人全員が企業戦士として働いていた時は年に1回の旅行でしたが、定年を迎えてからは年2回になりました。19歳の秋に知り合い、今年で50年、半世紀です。今まで北は北海道の礼文島、南は沖縄の西表島、国内を巡り半世紀になりました。それぞれ見学先で学び、友人からの情報で学び、土地の知恵で学び、人間形成に大きな役割を果たしてきました。今回は、今年世界遺産に登録された韮山反射炉を中心に伊豆の国市に行ってきました。私なりに感じたことを書いてみたいと思います。

 韮山反射炉は今まで3度行っていますが、以前の光景と180度違っていました。昨年の同じ時期は2~3人の客にボランティアの説明員がいて、土産店は客より店員の方が多いようでした。しかし今回は大型観光バスがパレ-ドの様に連なり、自家用車の駐車場は満車です。約50名が1人のボランティアの説明を聞きました。国指定史跡から世界遺産認定はこれほどまで・・・と思いました。ボランティアの説明は上手でよく理解できました。今から160年前の日本人がオランダの書物を参考に独自の方法で砂鉄から鉄を作り、大砲まで作り上げました。反射炉の敷地は狭く建物も大きくはありません。現在日本で世界遺産に認定されている地域は19ヶ所、全てがリピ-タ-に恵まれ繁栄している訳ではありません。代表的なのは石見銀山(平成19年認定)で、認定当初、車を止める場所も無い混雑でしたが、現在は閑古鳥が鳴いています。反射炉も一度見ればいいか?子供やおばちゃんには分かりにくい?石見銀山と同じ臭いがしなくもありません。反射炉での大砲製作には当所の代官「江川太郎左衛門」の力が大きかったそうです。反射炉から車で5分進めば江川邸が160年前の姿で今も鎮座しています。観光客はまだまだ疎らですが江戸時代からの資料は目を見張るものがあります。ここは子供、おばちゃんにも理解しやすいので、反射炉、江川邸を一体化すれば多くのリピ-タ-も来るでしょう。現在、観光用の大駐車場を整備していますが、砂鉄から鉄を、鉄から大砲を作る過程を見せるミニ製鉄所があれば、子供もおばちゃんもリピ-タ-になるかもしれません。知恵を出してお客さんに満足してもらう、これが「気配り」です。

 沼津市にある深海水族館はリピ-タ-の絶えない水族館です。売りものは日本一深い駿河湾に3億5千万年前から生き続けた「深海の生きた化石シ-ラカンス」です。2体をマイナス18度のガラスケ-スの中で展示しているので、体長1.8mの隅々まで観察できます。冷凍のシ-ラカンスを見られるのは、世界でここだけです。深海のヘンテコな生きもの、神秘的な生きものが所狭しと展示されています。普通、水族館はイルカショーがあり、足早に歩かないとまわり切れませんが、深海水族館はゆっくり見ても2時間かかりません。敷地150坪に400種の深海生物、魚屋では見られない魚介類が見られます。行くたびに新種の展示があります。2011年に開館して、今年の夏休みは行列ができる人気でした。ウィークデイに行きましたが混んでいました。随処に「気配り」がありました。

 私達4人は早めに宿(柳生の庄)に着き、係の仲居さんに「50周年記念の旅行です」と話すと「おめでとうございます」との返事がありました。食事の途中に、女将さんが「この度は50周年おめでとうございます」と挨拶に来られ、メインの料理と共に、「鯛の尾頭付」が4人に配膳されました。3時間前に告げた言葉が旅館からのお祝いの形として目の前に並んでいました。おもてなし以上の「気配り」です。朝もゆっくりの出発でしたが見送りの女将さんから、「仲居さんから聞きましたよ。楽しい仲間ですね。周りの人を楽しくさせる仲間ですね」と声をかけられました。連絡の良さ、笑顔、気取らない優しさに包まれました。運転しながら、車のバックミラ-を見ると見えなくなるまで頭を下げていました。

 「気が付いたら瞬時に判断して行動する」これが気配りです。(典)

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あきらめたらあかん/伊藤典男 著

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