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■ 2015年05月:KEY WORD 知恵袋

 越谷市に引っ越して今年の9月で15年目になります。引っ越して暫くした時、ヤクルトレディ-の訪問を受け契約しました。1週間に1度の配達で、決められた時間に決められた商品を配達してくれます。留守の時は保冷袋に入れて玄関先に置いてくれました。飛び込みのセ-ルスの上手い方で、感じも良く、続いていました。しかし、ご主人の転勤で次の方を紹介されました。引き継ぎも終わり暫くは何の問題も無く、前任者と同じでした。配達も慣れた頃、時間はバラバラになり、留守の心配りもなくなりました。ヤクルトは体には良いですが、我慢してまで飲むものではないと思い、契約解除の電話をすると、担当者を変えるから再考願えないかとの事でした。今の担当者になって約10年。彼女のバイクは目立ちます。雨除けの前カバ-の周りには季節の花がいっぱいで、夏の向日葵は圧巻です。勿論造花ですが、遠くから見ても彼女のバイクと分かります。訪問時間もピッタリです。チャイムが鳴り出ていくと、明るく大きな声で挨拶してくれて、その際必ず心配りの一言があります。毎回同じ言葉ではありません。彼女のキャラクタ-が随処に溢れ出ています。畑で採れた野菜を「持って行く?」と声を掛けると間を空けず「ありがとう」と気持ちよく貰ってくれ、次週にはどんな料理をしたかを報告してくれます。彼女は販売店内で毎月ダントツの売り上げのトップレディ-です。目立つバイクですから、前から走ってくるのがすぐに分かります。車の窓を開けて手を振ると大きな声で「行ってらっしゃい」「お帰りなさい」と声をかけてくれます。サ-ビス業の鏡と言っても過言ではありません。彼女の出社時間は販売店でいつも一番だそうです。誰よりも早く来て配達の準備をします。この準備も前日帰宅前に済ませたものを再度チェックしてバイクに積み込みます。売上一番には一番になる方程式が作られています。

 以前彼女に、社員集会時に話をしてくれないかと頼みましたが、丁重に断られました。頭の中はお客様のことで一杯ですから、一日の時間をたっぷりお客様にかけたかったのでしょう。ヤクルトレディ-は、一人一人の収入源が歩合制で経営者です。売り上げが生活に直結します。我が社も創業時は現代表と朝8時から仕事をし、休み無く一日の時間をたっぷり仕事に費やしました。経営にかける時間と成功は比例します。経営者には経営者の行動があり、時間の使い方があります。社員には社員の行動があり、時間の使い方があります。経営陣は創業時の原点を見直して欲しい。社員が、家族が、君達の双肩にかかっています。提案には反対より改革案の提示です。知恵の無い者ほど注文を付けます。知恵袋はカラッポです。ヤクルトレディ-と話していると、周りの人もやる気にさせる知恵が知恵袋から出てきます。知恵袋からはみ出てくるのが経営者です。

 畑の雑草にぺんぺん草(ナズナ)があります。この雑草は春の七草の一つとして知られ、正月の胃袋を癒す薬草と思われていますが、野菜作りをしている農家からは最も嫌われ、本当に厄介な草です。草取りをしても取り切れない、畑を耕しても、除草剤をまいても絶滅させることが難しい草です。草から見れば、明日何が起こるか予測不能です。地面の下には膨大な量の種が眠りながら発芽のチャンスをうかがっています。しかし、温度、湿度と条件がそろっても一斉には芽を出しません。全て発芽してしまえば命の保証はありません。種類が絶えてしまいます。地面の下には「シ-ドバンク」と呼ばれる種の集団があり、来年の春、夏、秋、10年後の春夏秋冬、30年後、100年後の…と出番を待っています。シードバンクはぺんぺん草の知恵袋です。成功する者、失敗する者、生き延びる者(物)、滅びていく者(物)、知恵袋に何発の弾があり、いつも補充しているかが勝負の分かれ目です。会社経営も、人生も同じと私は思っています。(典)

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あきらめたらあかん/伊藤典男 著

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