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■ 2014年08月:KEY WORD 41年の宝

 今年も学生時代の友人と2泊3日の旅行に行ってきました。卒業してから毎年2〜3回、4人が集まります。今回は福島に住んでいる友が幹事となり、被災地を元気にということで、宮城・福島と山形の小野川温泉で蛍の観賞をしました。私がまだ田舎(三重県)にいた頃は、毎年蛍を見ていました。当時は街灯もなく暗闇に光る蛍は幻想的でした。草むらで光る毛虫もいて、蛍と間違えたこともありました。蛍は網で捕ると羽を傷つけてしまいます。菜種の種を取った茎で捕えたものです。小野川の蛍は田舎に住んでいた頃より数は少ないですが、自然界で、人の手を加えない蛍に至福の時を貰いました。何の整備もされていない小さな小川。蛍が売り物なら宣伝も、見る場所ももう少し整えたら、と思いましたが、何も手を加えないのが蛍にとって良い環境なのでしょう。人間の勝手、思い込みを反省させられました。この環境だから蛍が住み着いているのでしょう。

 2日目は芦ノ牧温泉に泊まりました。ホテルに着くなり係の人から70人の団体がまもなく着くと聞き、我々は急いで温泉に身を沈めました。露天風呂で寛いでいると、団体の一人の若者が入ってきました。その団体は牛丼の吉野家の北関東地域の社員旅行でした。茨城・群馬・栃木の店長が先週と今週、2組に分かれての旅行だそうです。若者は大分県の高校を卒業して吉野家で働きたいと思いましたが、九州には直営店が無く、北関東地区に来ていました。この青年と話をしていると、話し方や、話の内容を的確に相手に伝える力が非常に優れていることに気付きました。これは社員教育の結果か、或は本人の能力なのか、5分ほどの話でしたが私には心に響くものがありました。私も今まで多くの社員と接し、生徒と親御さんとの三者面談もかなりの数をこなしてきました。人物を見抜くのには自信があります。ドクタ-ストップがかからなければ今でも…と思う気持ちもありますが、授業を離れて約10年、また代表を退いてから5年が過ぎています。人物評価のカンも錆びているかもしれません。でも、私のカンはまだまだ使えるのか、錆びてしまったのか、自分自身を試してみたい、そんな思いが頭の中で交差しました。ついに私は決心して、青年より早く脱衣場を出て待ち伏せをし、彼と雑談しながら名前を聞き出しました。その後我々は6時から夕食、団体は6時半からの宴会でした。私はテ-ブルに着くなり、メニュ-の中から焼酎を青年の宴会場の彼あてに、メモを付けて届けてもらいました。「お風呂場では至福の時をありがとう」と大きく書き、小さく、「お風呂で会った4人組より」と付け加えました。私は友人達に、彼なら必ず挨拶に来ると言い張りましたが、友人たちは来ない、と言いました。時は過ぎ、我々の宴会も終わり、友の一人がやっぱり来なかったねと言いました。我々の旅行も若い頃は仕事の話、会社の話でしたが、今は薬の話です。しかし、私の頭の中は彼の事が・・。夜が明けても彼の事は忘れていませんでしたが何の返事もないのが事実です。「やっぱり、俺のカンは錆びついてしまったか」と思い、彼のことを頭の中から一生懸命除外しようとしました。朝食を済ませて、チェックアウトする時でした。ホテルの人から、預かりものです、と大きな荷物を手渡されました。そこには送り主として、彼の名前と「楽しい旅行にして下さい」とのメモがあり、我々4人分のお酒が入っていました。「自分のカンは錆びついていなかった!!」この喜びは皆さんが想像する以上のものです。

 生徒の目の動きやあらゆるシグナルを見逃さない事が退塾防止につながり、その積み重ねが人物評価の基礎を作ってくれます。教場は我々にとって最大の勉強の場であり、人間育成の場でもあります。しかし、手抜き授業、知識の投げ売り、時間の浪費ではダメです。真剣勝負、体当たり、生徒にとって最高の授業を提供することで、自分も生徒も成長できることを知るべきです。私は今回の体験で、今まで教えた生徒達、親御さん、社員の皆さん、特に取引先の銀行の融資係さんが「人を見る目」を育ててくれたと実感しました。8月は創業41年目の夏。41年の宝を自覚しました。大きな声で「みなさんありがとう」と叫びたい。(典)

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あきらめたらあかん/伊藤典男 著

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