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■ 2017年04月:KEY WORD 割れ窓

 我が家の外の駐車場に大きめの傘立てがあります。間口は約45cm、底35cm、高さ60cmで、周りを網で巻かれた筒状です。普段は何も入っていません。しかし、同じ道路沿いに自販機があり、1人が空き缶を傘立てに捨てると、2~3日中には何個もの缶が入っています。近くのコンビニで買った食べ物屑が捨ててあると、同じ様に傘立てに捨てて行きます。周りが網で中身が丸見えのせいか、以前大きなゴミ袋一杯のゴミが捨てられていた事もありました。ゴミや落書きを放置すると、人々は反社会的行動を誘発してしまう事を「割れ窓理論」と言います。この理論はアメリカの犯罪学者ジョ-ジ・ケリング教授の「建物の窓が壊れているのを放置すると、誰も注意を払っていないという象徴になり、やがて他の窓もまもなく全て壊される」という考え方です。社会学者釘原直樹氏の著書「人はなぜ集団になると怠けるのか」に『ゴミ捨て禁止という掲示の周りに落書きのある駐車場と、ゴミ一つ落ちていない駐車場とを比較すると、前者は、2倍のゴミのポイ捨てがあった。またス-パ-の買い物カ-トが何台か放置されている駐車場と、カ-トが片付いた駐車場では、やはり倍近いポイ捨てがあった。さらに盗みという犯罪を誘発する割合も、落書き、ゴミの散らかし状態では、それがない場合の2倍位になった。』と書いてありました。

 割れ窓理論で、世界的に有名なのが、1980年代のニューヨーク市の地下鉄でした。車両中が落書きされ、強盗や殺人等、手の付けられない犯罪多発都市でしたが、1994年に検事出身のルドルフ・ジュリアーニ氏が治安回復を公約に市長に当選し、今は家族連れにも安心な街になっています。市長就任から5年で犯罪の認知件数は、殺人が67.5%、強盗が54.2%、婦女暴行が27.4%減少し、治安が回復して中心街も活気を取り戻し、住民や観光客が戻ってきたようです。日本にもあります。2001年札幌中央署が、割れ窓理論を採用した、北海道最大の歓楽街「すすきの」での事例が有名です。すすきの環境浄化総合対策として犯罪対策を行いました。先ず手始めに、すすきので、駐車違反を徹底的に取り締まる事で路上駐車を皆無にし、併せて地域のボランティアとの協力による街頭パトロ-ルなどの強化により、2年間で犯罪を15%減少させました。身近では、東京ディズニーランド・東京ディズニーシーでは、些細な傷も疎かにせず、ペンキの塗り直し等の修繕を惜しみなく夜間に頻繁に行うことで、従業員や来客のマナーを向上させて成功しています。車を運転している人ならよく見る光景ですが、高速道路のインター付近の植木の中にコーヒー缶が放置されています。綺麗に掃除すればしばらくは綺麗なままですが、1個のポイ捨て缶が、次から次へと、ポイ捨て缶の山になります。この「割れ窓理論」には、社会学者の中で「無実の人間が警察に連行された」と主張する方もいますが、効果から見れば最大の武器だと思います。ある心理学者は、割れ窓理論について「自分の名前が知られていない。責任が分散されて、我が身に及ばない状態に置かれると、自己規制の意識が低下して『没個性化』が生じて、その結果、情緒的・衝動的・非合理的な行動が現れ、周囲の人の行動に感染しやすくなる」と分析しています。

 会社の中でも、規律正しい挨拶、我が社の「ありがとう」、職場のゴミ、窓ガラスのくもり、地域のゴミ拾い、挙げればきりがない程あります。経営面では、好景気もあれば、苦しい時もあります。好景気の時は歯車が順調に回ります。しかし、苦しくなると、情緒的・衝動的になりやすいものです。責任が分散され、我が身に及ばなければいい、と他人事になります。割れ窓を作らないためにも、割れ窓を放置させないためにも、一致した行動と団結が必要です。そのためには、心からの会話が不可欠です。心の割れ窓を作らないためにも。(典)

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あきらめたらあかん/伊藤典男 著

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