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■ 2018年07月:KEY WORD アジサイ

 初夏の庭に似合う花にアジサイがあります。アジサイは、寒風には似合わない。やっぱり梅雨時に艶やかに咲いているのが、一番風情があって、心を和ませてくれます。私達が目にしているアジサイは、殆どが西洋アジサイです。アジサイの原産国は日本ですが、西洋で品質改良されて、日本に逆輸入されました。顧みれば、日本は江戸時代、園芸先進国だったのですが、アジサイは人気がなく、品質改良がされませんでした。1788年イギリスの博物学者が、中国揚子江に咲いていたアジサイと、日本のアジサイを自国に持ち帰り、改良を何度も繰り返し、現在の多くの種類が誕生しました。

 今や、アジサイの種類は大きく分けると50種類、園芸品種を加えると2千種類以上と言われています。我が家にも、日本古来の「隅田の花火」と西洋アジサイの「ハイドランジャ」があります。隅田の花火は、ガクアジサイで真花という小さな花の集まりの外側に、装飾花が真花を囲むように咲いています。ハイドランジャは、よく見かける丸く青い花を咲かせるアジサイです。アジサイは、女性に人気の花ですが、花言葉は、人気と裏腹に、移り気・浮気等が囁かれています。しかし、西洋では花が群れて咲くことから、一家団欒・友情・仲良し、と言われています。日本では、毎年咲く花の色が変わる事から、あまり良い意味の花言葉ではありません。アジサイの色は土の酸性度で決まります。「酸性ならば青色、アルカリ性ならば赤色」になります。土が酸性なら、土に含まれているアルミニウムが溶け出して、アジサイの根から吸収されて、ガクのアントシアニンという色素とくっついて青色になります。しかし、土壌が中性やアルカリ性だと、土に含まれているアルミニウムが溶けないため、アジサイの根から吸収されず、ガク本来の赤色になります。小学校の理科実験でリトマス試験紙を使いますが、「酸性なら赤色、アルカリ性ならば青色」となり、色の変わり方が逆です。リトマス試験紙は、リトマスゴケという地衣類(菌類に藻類が共生した生き物)が持つ色素で染められています。その色素の色の変化にはアルミニウムでなく水素が関係するので、アジサイとは違う変化の仕方をするのです。青色の花を咲かせたいならば酸性の肥料や、アルミニウムを含むミョウバンなどを土に混ぜれば青く咲きます。ただし、アルミニウムを吸収しやすい根と、そうでない根があるようで、同じ株でも場所によって少し違うことがあり、品種によっては、遺伝的要素で青くならないものもあります。花の咲いている途中に、酸性・アルカリ性の肥料で、色が変わる事があります。

 何もしなくても、日が経つにつれて徐々に変化することも知られています。最初は葉緑素のために薄い黄緑色を帯びており、それが分解されて行くにつれてアントシアニンが作られ、赤色や青色に色付きます。アジサイの花の終わり頃に赤くなるのは、アジサイの体の中で作られた二酸化炭素が原因です。アジサイの老化によるもので、土の酸性度や、土に含まれているアルミニウムの量に関係なく起こります。多くの植物はアントシアニンを持っています。例えば、ムラサキキャベツ・アサガオなどの色素も酸性度によって色々な色に変わります。アジサイは生命力が強く、剪定をしないと大きな茂みになります。剪定を間違えると翌年花が咲かない事があります。剪定は花が終わった7月~8月に行います。9月に入ると新しい花芽ができ、剪定が秋になると折角できた花芽を摘むことになるからです。

 葉には毒を持ち、自分自身で身を守る。酸性・アルカリ性の環境で自分を変える事ができるアジサイは何と素敵な事か。北米で品質改良された白いアジサイにはアントシアニンが無いため、生涯色が変わりません。何と不幸な事か!花が老いていけば、酸・アルカリに関係なく、みんな同じ色に染まる。何と素敵な事か。(典)

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あきらめたらあかん/伊藤典男 著

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