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■ 2018年04月:KEY WORD 臭い

 私は今年の年男、戌(犬)年です。私の持論ですが、犬年の人間は臭いに敏感だと思います。臭いに敏感なのは先天的なものなのか、否か、また自分にとって快適な臭いは他人にとっても快適なのかどうか、調べて見ました。私達の周りで臭覚が一番優れている動物は?とのクイズに多くの人が犬と答えるでしょう。しかし、答えはアフリカゾウです。(鼻が長いだけに?!)臭いは鼻のどこで感じるのでしょうか。鼻の奥には臭覚受容体という組織があります。臭覚受容体には無数の孔があり、その孔は、球形が入りやすい孔であったり、細長いものが入りやすい孔であったり、我々が見たことのない想像を絶する様々な形の孔が開いています。人間には、その孔が396個あります。私達の周りにある臭いの分子は数十万種類あり、球形、細形、角形、と多種にわたる形をしています。臭いの分子の形と受容体の孔の形が一致し、ピッタリはまった時、無数に張り巡らされた神経を通って脳に行き、我々は臭覚として感知するのです。強烈な臭いを察知するのは臭いの分子の形が多岐にわたり、1度に多数の分子が受容体の孔に入るからです。受容体の孔が多い程、臭いに敏感に反応します。受容体に通じる道筋は2通りあります。鼻からと口からです。風邪をひくと食べ物の味が分からなくなるのは、口からの通路が閉ざされて、臭いが受容体に届かないからです。臭いと味は密接な関係にあります。臭いに敏感な犬は受容体が811個あります。それを上回るのがアフリカゾウの1948個(人間の約5倍・犬の約2倍)です。元々、1億年前の哺乳類の共通の祖先は、約800個の臭覚受容体を持っていましたが、臭覚に頼る犬やアフリカゾウは臭覚を発達させる遺伝子を発達させ、人間やチンパンジー等の霊長類は、臭覚より赤・緑・青・明暗の4種類の視覚の受容体で認識して、臭覚は衰え、臭覚より視覚が発達したようです。

 では、臭覚は鍛えられるものなのでしょうか?ワインのソムリエや化粧品会社の臭気研究員など臭気のプロがいます。(臭気のプロは臭気判定士の国家資格を取得しなければなりません。)筑波大学の綾部早穂教授の著書「感覚・知覚の心理学」には、動物は先天的に臭いの好き嫌いを判断しているのに対して、人は後天的に獲得したと書いてあります。これらの事を証明する実験が行われていました。バラの香りで満たした小部屋と、うんちの臭いのする小部屋の2つを用意し、母親とその子ども(2歳児)の30組に臭いを嗅いでもらった結果、母親の8割がうんちの方に不快と感じたのに対し、子どもには差がありませんでした。動物の実験も記されていました。実験室で生まれたマウスに天敵のキツネの糞に含まれる臭いの分子を嗅がせると、キツネに遭遇した経験がなくとも逃げる行動をとりました。実験で、動物は先天性、人間は後天性であることが証明されました。人間は3歳以上になると徐々に大人のような好みを示すことから、人は学習や経験で臭いの好みが決まっていくようです。綾部教授は「においが生活の中でどんな価値があるか、知識を身につけることで、好みが変わっていくのかもしれない」と指摘しています。全ての人がバラの香りに癒されるとは限らないし、嫌な臭いも時間が解決するかもしれません。
 動物にあるフェロモンが、人にもあるかどうか突き止めようと試みる実験もスイスの研究所で行われています。男女6人が数日間着用したTシャツに染み込んだ汗のにおいを、男女121人に嗅がせました。研究員たちは、免疫に関する遺伝子型が自分とは遠い人の臭いを好むと思っていましたが、予想に反して遺伝子に関係ない結果が出ました。人間はフェロモンよりも、コミュニケーションで臭いの好き嫌いが決まるようです。人間の唯一のフェロモン行動は、親が赤ちゃんの頭のにおいをいとしいと感じることだそうです。

 私の周りには自分と同じ匂いのする人物がいます。体臭ではありません。人生観、生き方、言葉には言い表せない何かです。その人の行動、言語、癖は、外から自分を見ているようです。(典)

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あきらめたらあかん/伊藤典男 著

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